ステップアップチェス2022参加記①
2022年5月15日(日)に大田区産業プラザPIOで行われたステップアップチェス大会に参加してきました。
大会概要はこちら。
初心者大会を謳っていますがれっきとした公式戦です。
0R 受付まで
14:00開場でしたがどうにも落ち着かず12:30頃に京急蒲田駅に着いてしまいます。ゆっくり昼食を摂ろうか、しかし満腹で眠くなってしまうのもどうなんだ、とはいえ脳の栄養補給をしておいたほうがいいのか……?などと逡巡した末、ファミマのイートインでサンドイッチとレッドブルというどっちつかずな選択。レッドブルに関しては篠田先生リスペクトかもしれません。
13:15頃に大会会場のフロアを覗きにいったものの開場しているはずはなく。近くのタリーズに入り、Lichessのタクティクスを解いて時間を潰します。
14:00、満を持して開場。受付を済ませます。フロアにはちびっ子とその保護者たちがいっぱい。成人男性が参加するのは場違いだったか?などと一瞬思ってしまいましたが、始まる前からそんな弱気でどうするのか。むしろ大人の厳しさを教えてやらねば。
会場はよくある会議室のようなところ。どこにでもある椅子と長机が並んでいますが、そこに盤と駒(と、対局時計と棋譜用紙)が置かれているだけで特別な光景に見えてくるのだから不思議なものです。
初戦のボードに向かうとそこには対戦相手の少年。「こんにちは〜〜」と無難な初手をぶつけます。不審がられてはいけない。その直後、焦って長机に膝をぶつけてしまいました。盤上の駒が揺れます。「あっ!ごめんね!ごめんね!」と動揺する成人男性。完全にナメられているでしょう。大人の厳しさを教えてやるとはなんだったのか。
参加者が揃うまでにまだ少し時間があり、向かいの少年と会話して間を持たせるべきかと悩みます。長考の末、おぼつかない英語で疑問手を連発しました。
How should I call your name?
-What?
-〇〇.
〇〇!Yeah!
Where do you play chess usually?
-Home.
Home!With your family?
-Yes.
素っ気ない返事に凹みます。彼は緊張していたか怯えていたかその両方でしょう。しかし悪手を後悔していても仕方ありません。「勝つのは最後から2番目にミスをしたプレイヤー」みたいな言葉もありますよね。
アービターの方から開始前の説明。テクニカルミーティングと言うんですね。15分+10秒という短いタイムコントロールなので棋譜を書く必要はないとのこと。後ろのほうから小学生男子の声で「やったー!」と聞こえてきて微笑ましい。
1R 白番
先述の通り棋譜が残っていないので詳細は覚えていませんが、記憶の限りで書き残しておきます。
イタリアン。1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 d6?!という見慣れない手順でした。黒の黒マスビショップがパッシブになるのでメインラインよりも白が指しやすいかと思いましたが、そこを上手く利用できず。
黒の緩手もあり、下図のような局面になりました(たぶん)。f5のナイトが強力です。
この後なんやかんやあってNxf7の手がd8Qとh8Kのロイヤルフォークになります。最後はB+N+Nでメイトが決まりました。勝ち。
2R 黒番
このラウンドも小学生らしきプレイヤーとの対戦です。
1.e4 e6 2.d4 d5 3.exd5 exd5 4.Bd3 Bd6 5.Nf3 Nf6 6.O-O 7.Bg5 Bg4 8.c3 c6 9.Nbd2 Nbd7 10.h3 Bh5 11.Re1 Qc7 12.Nf1 Rfe8 13.Ng3?!
フレンチエクスチェンジ。手順前後があるかもしれませんがこんな感じで進行したはず。黒は鏡のように指していきます。
白はNb1-Nd2-Nf1-Ng3とマヌーバーするプランでしたが、
13…Bxg3 14.fxg3 Qxg3 15.Rxe8 Rxe8
黒1ポーンアップ。白はキングの安全性が不安でしょうか。
この後なんやかんやあってビショップがタダ取り。さらになんやかんやあってクイーンがタダ取りになったところで白がリザインし、このラウンドも勝ち。これは優勝してしまうかも分からんぞ?などと思い始めます。
3R 白番
ラウンド間に少しお話しした方と対戦。たぶん同世代じゃなかろうか。
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 h6?! 4.d4! d6 5.O-O Nf6?! 6.Re1??
イタリアン。3…h6とするAnti-Fried Liver DefenseはLichess1500付近だとよく直面します。4.d4!としてセンターにアタックするのが好手らしいです。この手だけは知っていたのですが、その後の指し回しがお粗末でした。
ちなみに4.d4!のアイディアを知ったのはものぽさんの動画からです。リンクを貼っておきます。
6.dxe5 dxe5 7.Qxd8 Nxd8 8.Nxe5とすれば白はポーンアップ、展開の速さも主張できます(7…Kxd8には8.Bxf7、こちらはポーンアップとキングの安全性で優勢でしょうか)。「展開で勝っているのだからクイーン交換するとアドバンテージが消える」と考えて手を選びましたが、素直にマテリアルアドバンテージをもらっておくべきでした。
こうして振り返っているとオープニングの理解度も深まるものですね。この変化は当分忘れないでしょう。
ミドルゲームで黒がクイーンサイドにキャスリングしてきたのでお互い殴り合いの局面になります。白はbファイルが開いたのでそこからメジャーピースで攻めるぞ、と思っていたらルークが落ちました。エンドまで粘りましたがリザイン。負け。
ちなみにエンドでイリーガルムーブが飛び出しました。時間切迫と劣勢で焦っているところにアービターを呼ばれると呆然としてしまいますね。
4Rはどういうわけか棋譜が残っているので別記事にしてみます。3Rでひどい負け方をしましたがそれを引きずらずに戦えるのでしょうか……?②に続きます。それでは。